楽進


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楽進 文謙

 

 

生没年:?~建安23年(218)

 

所属:魏

 

生まれ:兗州陽平郡衛国

 

 

個人的人物評

 

楽進 魏 一番乗り 一番槍 地味 名将 猛将 チビ

統率 A+ 一番槍のイメージがあるが、晩年は普通に兵を率いての戦いにも優れた力を見せている。合肥で城を守っていた辺り、もしかしたら兵の統率は駐留メンバーでトップだったのかもしれない。
武力 前半の活躍はまさに戻ってくる鉄砲玉。袁紹軍との戦いにおける活躍は鬼そのもので、最終的に関羽すら打ち破った。
知力 C+ どうにも切れ者のイメージがない。しかし曹操からは「計略も抜かりがない」と言われており、極めつけに最初の仕事は記録係。優れた知性も持っていたのだろう。。
政治 スタート地点こそ文官だが、後はずっと戦い続けている。政治力は測れない。
人望 C+ 初期三國志シリーズや演義媒体メディアでの雑魚さのせいで印象はイマイチだが、あれだけの地位に人望無くして上り詰めるのは不可能と言っていい。

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楽進(ガクシン)、字は文謙(ブンケン)。ちょっと昔までは通しかこの人を評価しなかったくらいの名前だけ武将でしたが、近年ではいろんなゲームに武力に秀でた勇士として出演し、知名度が上がった武将ですね。同じような武将に相方(ただし仲が悪い)ともいえる于禁なんかもいますが……まあ、あっちは色々闇が深いというか……。

 

この人に関しても記述の少なさがネックになっている感じが強いですが、とにかく先陣切って戦う、ゲームで見られるタイプのテンプレな猛将といった感じのイメージが強い人です。

 

そして、何気に曹操軍の武将の中でも屈指の実力者。先陣で槍を振るうだけが能ではなく、曹操をして「統率、計略も抜かりなし」と言わしめたハイパー武将だったり……

 

では、その伝を見ていくことにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小柄な猛将・楽文謙

 

 

 

 

楽進は背の低い人物ながら、勇敢で肝の据わった人物であるとされています。

 

その勇敢さを以って曹操について行き、はじめは記録係、そこから故郷で自前の兵を募集して1000人も集めてきたことがきっかけで軍の指揮官となり、それからはみんなの先頭に立って戦う猛将として大活躍します。

 

特に呂布袁術といった面々の勢力を攻める戦いでは、一番槍……つまり、一番最初に敵と戦い始めるという先鋒至上の戦闘スタイルを以って戦功を立て、さらには曹操を死の淵に追いやった宿敵・張繍との戦いや呂布に引導を渡すための戦いにも参加し、別将を撃破。

 

徐州に勢力を築いていた劉備を駆逐する戦いや、黒山賊という山賊の頭目の一人である眭固(スイコ)という人物の討伐にも参加。どちらも打ち破ることに成功しています。

 

官渡の戦いでも于禁とともに袁紹軍の拠点を攻撃し敵を脅かした他、敵の急所である烏巣の強襲部隊に組み入れられ、守将であった淳于瓊を撃破、討ち取ることに成功し、官渡における曹操軍奇跡の勝利の立役者となりました。

 

 

袁紹が亡くなると曹操は本格的に(旧)袁紹軍の領土に侵攻。ここでも迎撃隊の大将を討ち取ったり、袁紹の長男である袁譚(エンタン)討伐でも城に一番乗りで乗り込んだりと、八面六臂の大奮闘。これを地味とは誰も言えまい……

 

 

 

 

 

 

 

一番乗りから立派な将軍へ

 

 

 

 

 

ここまで一番乗りで大活躍を披露した楽進に、太祖・曹操もホクホク。まだ曹操の元で健在だった漢帝国の帝への上奏文に張遼、于禁とともに名前を挙げられ、三人まとめて「統率力、武力、そして計略のすべてにおいて圧倒的。兵士をかわいがり、上の命令も厳守しています」と最大限褒められ、さらに曹操自ら、帝に表彰と恩賞をおねだり。この曹操の働きかけにより、楽進ら三人は将軍の地位が与えられたのです。

 

さらには一度曹操に寝返った高幹(コウカン)という人物が不意打ちで反乱を起こしたときも、別動隊を率いてその背後を強襲。堅牢な関にこもって戦う高幹の軍を完全に討伐することはできませんでしたが、曹操の本隊が到着するまで戦いを有利に進めることができたのです。

 

 

その後も反乱勢力や不服従勢力の討伐にちょくちょく名前が出ては、それらを討伐。楽進の活躍を恐れた不服従民の中には、わざわざ楽進を頼って降伏しに来る者もいるほど異名は轟いていました。

 

 

曹操が赤壁で負けた時も、荊州の大都市・襄陽(ジョウヨウ)の守備隊を率い、なんと攻撃してきた関羽らを撃退。さらには逆に劉備領土を攻撃し、その一帯を支配下に置くなど相変わらず強気な活躍が目立ちます。

 

 

合肥の戦いではなぜか張遼といがみ合って大変不仲でしたが(実は前々からいがみ合ったりもしてましたが……性格の不一致か?)、同じく張遼を嫌悪する李典の説得を受けて、張遼との合力を宣誓。楽進はこの時守備隊として城の防御にあたっていましたが、張遼、李典の決死隊が孫権軍を撃退すると追撃軍に混じって孫権を追撃。相変わらず攻めの姿勢を忘れないこの戦いっぷり。見ていて気持ちよくなりますね。

 

 

と、このような数々の活躍(史書でもこんだけ端折って書かれている)を立てた楽進は、当時の曹操軍では最高級の右将軍の位に就任。しかし、ここで燃え尽きてしまったのかまもなく逝去。諡は彼にピッタリの威公。

 

息子の楽綝が跡を継ぎますが、彼の死に様は反乱した味方の不意打ちによって真っ先に狙われ殺されるというもの。父に似て剛毅な性格とありましたが、やはり実力があったので警戒されたのが原因でしょうか?

 

 

 

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曹操軍でもトップクラスの勇将なんだが……

 

 

 

 

自ら一番槍を振るうだけの武力、胆力と、関羽を打ち破るほどの指揮能力、さらには曹操軍の譜代・外様武将の中でもトップ3という評価を受けるほどの超有能な将なんですが……記述がこれだけって何ぞや(´・ω・`)

 

正史本伝の記述だけなら、こんなものでもまあ納得なのですが……楽進の場合、あるのは本伝の記述“だけ”。

 

普通は猛将タイプの武将であっても、裴松之の注釈により何かしらの逸話が入れられている物なのですが、楽進に関しては一切無し。

 

 

 

一応張遼、楽進、于禁、張郃、徐晃の五人が曹操軍の筆頭格の将軍としてまとめられており、彼らが蜀の五虎将軍に匹敵、下手すれば上回る力量の持ち主なのは間違いないです。

 

 

が、下手なギリギリ一流武官程度の武将のほうが記述がしっかりしており、そういった影響のせいでしばらく楽進が注目されなかったのは悔やまれます。

 

 

結果として、三國志シリーズでも初期ではただの雑魚、無双シリーズに出たのは7から。うーん、この扱い……

 

 

 

まあ、それでも晩年ジェットコースターも真っ青な勢いで運気が急降下した于禁よりは、まだまだ評価はマシといったところ。

 

 

そもそも正史自体、ほとんどが名士の記述ばっかで生え抜きの武官はテキトーに流されてるんですが……それでも、ちょっと当時の闇の一端を邪推せざるを得ません。

 

子孫が何かやらかしたか、どこかで勢力争いに巻き込まれ、それに負けて資料を全部オシャカにされてしまったか。

 

 

なんにしても、これほどの大人物が小物よりあっさりした記述に済んでしまっているのは、ちょっと恐ろしいというか、本当何があったのか……

 

 

 

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