黄忠 漢升
生没年:?~ 建安25(220)年
所属:蜀
生まれ:荊州南陽郡
勝手に私的能力評
統率 | A | 後将軍の位は、いくら手柄を立てたとはいえまともな統率もとれない人物に与えられるとは思えない。武将としてはかなり活躍したらしい。 |
武力 | S | あの夏侯淵を討ち取ったのなら、そりゃあ最高ランクにせざるを得ない。 |
知力 | D | やったことは偉大だが、身も蓋もなく言えば猛進して敵総大将を討ち取っただけ。武勇はともかく、知力を測る材料にはあまりに乏しい。 |
政治 | D | 益州征伐と漢中奪取以外にこれといった見せ場が無く、政治力も不明のまま。 |
人望 | B | いわゆる一発屋でありながらここまでの人気を博し、後世では神がかり的弓使いの設定なんかが与えられた。これを人気と言わずして何というか。 |
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黄忠(コウチュウ)、字は漢升(カンショウ)。「老いてなお益々盛ん」で知られる、おじいちゃん武将ですね。
その割に生年がわからない=おじいちゃんかわからないという、なんとも不思議な武将です。まあ、関羽にジジイ呼ばわりされてるから、ほとんど老将という解釈で間違いはなさそう。
実は早くから将軍?
劉備に仕える前の黄忠の経歴は、本当に簡素な、たった数文の記述しかありません。が、最初に荊州に割拠していた劉表(リュウヒョウ)からは中郎将(軍の指揮官)として血縁者とともに荊州南にある長沙郡の攸県という場所の守備に従事。
曹操が荊州を押さえ、韓玄(カンゲン)という人が長沙のトップとして送られてくると、仮とはいえ裨将軍(将軍職の下っ端。国を左右する超エリートの第一歩として有名な将軍職の一つ)につけられ、引き続き同じ仕事に引き立てられています。
曹操に限って言えば現地の住民を引き立てる意味もあったんでしょうが……それでも、当時は無名の「誰それ?」という人だったことを考えると、かなり順風な出世コースを歩んでますね。
さて、そんなこんなで赤壁の戦いの後、劉備が荊州の南部四郡を制圧すると、晴れて劉備の臣下として仕官。
騙し討ちに近い作戦の都合上、「有力な部下は連れていけない」という縛りがあった都合上、益州平定軍の主力として従軍。
この時、主力の名に恥じず常に先陣立って戦い、その勇敢さは軍中でもトップだったとか。謎が多いとはいえ、武力がけた外れに優れていたことだけは読み取れる記述ですね。
さて、そんなこんなで大活躍した黄忠は、劉備にもすっかり気に入られたようで、益州を無事に奪取した後に討虜将軍(名前の通り将軍職。敵を討つ、つまりガチガチの戦闘部隊高級指揮官)に任命されました。
そして五虎将軍へ……
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さて、知る人ぞ知る黄忠の見せ場と言えば、曹操軍の重鎮・夏侯淵(カコウエン)を見事討ち取ったとされる定軍山の戦いでしょうか。
この時の敵大将・夏侯淵は曹操軍でも指折りの猛者で、その軍も非常に強力な精鋭部隊でした。
そんな天下でも有数の強敵相手にも黄忠は猛進。率先して兵を鼓舞し、天を震わせるほどに鐘と太鼓をけたたましく鳴り響かせ、歓声も谷あいの地形を変えてしまいかねないほどだったとあります。
これだけド派手に鼓舞された兵士たちはもはや怖いもの知らず。軍師である法正(ホウセイ)らの策で突出していたとはいえ、たった一度の戦闘で総大将の夏侯淵を討ち取り、その軍勢を木っ端微塵にしてしまう驚異的な活躍を見せたのです。
と、これほど恐ろしい活躍を見せた黄忠に度肝を抜かれた劉備は、黄忠を関羽、張飛といった古参、そして相応のネームバリューを持った馬超と並んで黄忠を後将軍(前、右、左と並んで有名な将軍位。ここまでの身分になると知名度も一流どころがほとんど)に抜擢。
この時、諸葛亮がある不安を吐露します。
「張飛や馬超は戦いを間近で見ていたので文句もないでしょうが、その場にいない関羽の機嫌が損なわれないかが不安です」
これを聞いた劉備は、自ら関羽を説得。黄忠の後将軍就任を自らの手で決定づけたのです。
と、これからの活躍を大いに期待される黄忠でしたが、この翌年にあえなく死去。武力を以って大立ち回りを見せた大穴にふさわしい剛侯という諡号が与えられました。
ちなみに息子には黄叙(コウジョ)という人がいましたが、この人は早死にしていたため後継者はいなかった様子。
まあ息子に先立たれるくらいなのでそこそこの歳ではあったのでしょうが…………結局、年齢についてはわからず仕舞いですね。
一応関羽曰く「老いぼれ」とのことですが、それでも嫉妬スイッチの入った関羽は、特に指揮官クラスや名士には当たりが強いからなあ……
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