簡雍


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簡雍 憲和

 

 

生没年:?~?

 

所属:蜀

 

生まれ:幽州涿郡

 

簡雍

 

簡雍(カンヨウ)、字は憲和(ケンカ、あるいはケンワ)。

 

マイナーな人物ではありますが、この人は劉備(リュウビ)とは同郷の出身者で、下手をすると義兄弟である関羽(カンウ)や張飛(チョウヒ)よりも古いころからの間柄である可能性も……。

 

 

 

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不遜なる愛されキャラ

 

 

苗字は「耿(コウ)」だったものが、北の辺境である幽州のなまりから「簡」という漢字に置き換えられ、本人もそう名乗ったそうな。

 

 

さて、そんな簡雍ですが、正史にはしっかりと「劉備とは若いころから旧知の仲」と書かれており、彼の無名時代から従っていたそうです。実際に劉備の生まれも幽州のタク郡ですし、もしかしたら劉備関羽張飛と出会って旗揚げする前からの、本当に古い知り合いだったのかもしれません。

 

 

彼は主に文官としての役割が大きく、特に弁舌をさせると、のびのびとしながらも見事な主張をしたとされています。
当然、主な仕事も文官職で、劉備が荊州に拠って立つ地を得ると、当時でもひときわ優秀な人物らとともに、重役に取り立てられました。

 

 

 

その後、劉備の蜀取りにも同伴し、なんと、敵の総大将である劉璋(リュウショウ)の説得という大任に抜擢。

 

持ち前の不思議な魅力ですっかり気に入られ、劉璋と二人で仲良く城から出てきて、彼を降伏させてしまったのです。
なんという弁舌スキル……

 

この功績をたたえて、劉備は彼を昭徳将軍……つまり将軍職にも任命。これは、劉備配下の内勤職員の中ではとんでもない位で、劉備の義理の兄である麋竺(ビジク)という重臣中の重臣に次ぐものだったそうです。

 

 

して、この簡雍、性格は傲慢で無頓着。懐も態度も大きな人物で、相手が劉備だろうが遠慮がなく、だらしない格好で足を投げだし、心のままに振る舞いました。
さらには諸葛亮(ショカツリョウ)やそれ以下の面々に対しては、長椅子を堂々と独り占めして枕に頭を置いて対話という、今の倫理観でも結構アレな態度で接したのだとか。
それでも愛されキャラだったのだから、なんというか、すごい(´・ω・`)

 

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簡雍と禁酒令

 

 

さて、ここで面白いエピソードを一つ。
劉備が禁酒令をかけて、醸造業者を逮捕した時の事。
この時ある役人が住民の家を家宅捜索し、見つけた醸造用具を没収、さらには裁判で有罪判決が出た時です。

 

この裁判を見ていた劉備と簡雍は、この後少し散策にでました。

 

そこで通りかかった一組の男女を見て、簡雍は一言。

 

「奴らは逮捕をしないのですか?」

 

これに対して劉備が首をかしげると、簡雍はさらに続けます。

 

「淫行に使えそうな道具を、あの二人は持っていました。公序良俗に反する物を持っていたわけですから、酒を造る道具を持っていた醸造業者と同罪です」

 

これを聞いた劉備は大笑い。結局、醸造用の道具を持っていた人は無罪となり、そのまま許されたのでした。

 

とまあこんな感じで歯に衣着せぬ天衣無縫な言動、行動が、周囲からの愛情、信頼につながったんですね。

 

性格はよくないのになぜか愛されるだけの愛嬌を持つ人、あなたの周りにもいませんか?

 

 

 

 

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