劉基 敬輿
生没年:光和7年(184)~嘉禾元年(232)
所属:呉
生まれ:揚州丹陽郡建業県

劉基(リュウキ)、字は敬輿(ケイヨ)。孫策(ソンサク)による江東平定で勢力を追われた劉繇(リュウヨウ)の子でありながら、新たに江東の主となった孫策の弟・孫権(ソンケン)の寵愛を上手いこと受け続けた人物ですね。
重臣でありながらあまりメディアにも取り上げられない人物ですが……処世と道徳性を両立するという地味ながらもかなりすごいことを成し遂げた人物です。
ちなみに劉基と言う人物は遥か先の明の時代にもおり、一般的にはそちらを指すことが多いのですが……まあ、当サイトとはあまり関連のない情報ですね。
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略歴
劉基の父・劉繇はひとかどの群雄でしたが、孫策に敗れて豫章にまで追い込まれ、その後に病を発して亡くなってしまいました。
劉基はこの時14若干歳でしたが、父の喪に服している姿はまさに儀礼作法にかなった見事なもので、部下からのお見舞いの品にも手を付けないという儒教の理想形態とも言うべきものだったとか。
さて、そんな劉基の話を聞いて、孫権は招聘し配下に加えました。孫権は劉基がイケメンだったのもあって彼を痛く気に入っていました。
建安24年(219)に孫権が将軍でも最高クラスの驃騎将軍(ヒョウキショウグン)に就くと、劉基は東曹掾(トウソウエン:官吏任用、昇進を司る)となり、輔義校尉(ホギコウイ)、建忠中郎将(ケンチュウチュウロウショウ)の官位を与えられました。
その後孫権が呉王になると大農(ダイノウ:朝廷の金銀貨幣などの物資管理。大司農とも)となり、さらに孫権が帝位に就いて呉帝国を立ち上げると、劉基は光禄勲(コウロククン:殿中衛士の元締め)に出世しましたが、49歳で病死。
遺された娘は後に孫権の息子へと嫁ぐことになり、その時孫権からは一区画分の広い屋敷と、四季折々には孫呉の重臣たちに匹敵する贈り物が届けられたのだとか。
また二人の弟はどちらも騎都尉(キトイ:近衛兵長)となり、彼が孫権からどれだけ信頼されていたかを表すひとつの根拠になっています。
『呉書』には劉基の日頃の態度に関しても言及されており、こう記されています。
劉基は苦難に満ちた人生を送ったが、それにも負けずひっそりと世に処してこれを楽むようにし、悲観するようなことはなかった。
また夜遅くに寝て朝は早く、妾達も彼の顔を見るのは稀であった。
みだりに誰彼構わず交友することも避けており、そのためつまらない人物が彼の家を訪ねることはなかった。
つまり、ポジティブな姿勢を貫く、尊敬すべき苦労人といったところですね。
弟たちもそんな劉基を父のように敬愛し、そんな人物の元を訪れるのも優れた人物ばかりだったと。
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虞翻との揉め事仲裁
さて、孫権の配下には、優秀で立派な儒学者であるものの口と態度が悪い問題児の虞翻(グホン)という人物がおり、しばしば史書の中でも問題を起こしています。
その虞翻がある時、酒の席で孫権の逆鱗に触れます。
というのも、主君の孫権がそもそも非常に面倒くさい酒乱で、酒の席で問題を起こすこともしばしばだったのですが……虞翻は「そんな面倒な絡みはしたくないわい」と寝たふりをして孫権からの手酌を暗に拒否し、孫権が通り過ぎたところでケロッと起き上がって何事もなかったかのような様子を見せます。
「俺の酒が飲めんのか」と怒った孫権は、これまでいろいろ貯まっていたのもあってその場で虞翻を斬り殺そうとしました。
この時の孫権の怒りを見るや誰にも手の付けようがないほどだったそうですが、この間に割って入ったのが劉基。動転し慌てふためく臣下の中でただ一人落ち着いて立ち上がり、孫権を羽交い絞めにして強く制止。これによって、虞翻は一命をとりとめたのです。
ちなみにその後、呉領内では「孫権自身が酔っぱらって出した命令は誰も聞いてはならない」という珍妙な法令が出たとか何とか。
なお虞翻はその後も着々と孫権のヘイトを稼ぎまくった結果、最後には辺境へと左遷されてしまいました。なんともまあ……
孫権の寵愛
さてもう一つ、孫権の劉基に対する寵愛ぶりを示す話が残っています。
これまた酒宴の話なのですが……とある日、孫権が船上パーティーを開いていた時のこと。
突然の天候悪化により雷雨に見舞われ、酒宴は台無しになってしまいました。
孫権は貴人用の大きなパラソルを開いて雨を凌ぎましたが、この時孫権は、ただ一人劉基にだけ「一緒に入れ」と命じたとか。
当時の貴人は神にも等しい存在と言っても過言ではなく、そんな人物と相傘をするなど、言語道断の無礼に値する行為です。
そのため、他の参加者たちは傘に入れてもらえず濡れ鼠になったのでしょうが……ともあれ、劉基だけはそこまでの事がゆるされる程度には孫権に気に入られていたという事ですね。
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