十人十色


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十人十色

 

 

十人十色。

 

意味合いとしては、

 

「考え方も好みも性格も、人によって全然違う」というものです。

 

っても、歴史なんかに興味を持つような方の中で、知らない人のが明らかに少ないような言葉ではありますが……

 

 

実はこの言葉、語源に関しては完全に不明です。

 

どこを見回しても、「わからん!」とさっぱりした回答が来るか、

 

はたまた語源を語るにしても、引っ張ってくる古事は人によって全然違うものばかり。

 

 

よそ目には一列一体、平等無差別、どの猫も自家固有の特色などはないようであるが、猫の社会にはいってみるとなかなか複雑なもので十人十色という人間界のことばはそのままここにも応用ができるのである。

 

とまあ、夏目漱石の「吾輩は猫である」にもこんな一文が載っており、少なくともこれより以前の話であるというのは見当がつきますが……。

 

 

さて、前置きが長くなりました。

 

では、この話が三国志とどう関係しているのか。

 

 

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蒋琬と楊戯の話

 

 

ほい、味気ないタイトルで申し訳ない。

 

この十人十色の語源とされる話の一つ(信憑性は微妙)に、蜀の蒋琬(ショウエン)と楊戯(ヨウギ)という人の話に、それっぽいのがありますね。

 

 

蒋エンが部下の楊戯が議論した時の事。

 

いつもは快活で舌の回る楊戯でしたが、時折蒋琬に対し、完全に黙り込んで何も言わなくなる時がありました。

 

それを見たひとりの部下は、楊戯を失脚させるため、

 

「返事をしないのか? なんと無礼な奴め」と指摘してきました。

 

 

この時に蒋琬が放った言葉が、こちら。

 

「人は顔の作りが違うのと同じく、考え方が人によって異なる。楊戯は自分に嘘をついてまで私に迎合しないが、かといって面と向かって反論すれば、上司である私の顔に泥を塗ってしまうことになる。だからあえて黙っていたのだ」

 

 

結局、蒋琬はこれ以上楊戯に対してあえて意見を求めることが無かったのです。

 

 

 

とまあ、こんな感じの話になりますね。

 

蒋琬、楊戯ともに、人によって態度や意見を変えることが無い、至って公正な人物であったとされています。

 

そんな二人だからこそ、こういった美談が生まれるのでしょうね。

 

 

 

 

ちなみに、三国志にある程度詳しい方に対して補足を入れておきますが……

 

楊戯という漢字、書き間違いではありません

 

 

というか、楊儀のような小物に、そんな人を思いやるような芸当できません

 

もっとも、楊戯のほうも姜維を嫌っていた辺り、必ずしも人を気遣うわけではないんですがね……

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