このエントリーをはてなブックマークに追加

【満寵伝3】何これ完璧超人?

 

 

 

 

人物評

 

 

 

政治をやらせればなあなあにしてしまう可能性はまず0で、軍事をやらせれば1流のディフェンス能力で敵軍をはじき返す。満寵の活躍はまさにハイバランサーといえるそれで、隙らしい大きな隙は見当たりません。

 

さて、そんな満寵を、陳寿は以下のように評価しています。

 

 

意志を貫くこと強固で、勇気がある上に策謀があった。

 

 

前者は若い日の上司にも容赦ない公平な政治スタンス、後者は孫権をフルボッコにした合肥での攻防の数々を象徴するものになってます。

 

軍事における孫権の策略をことごとく潰す姿は、まさに張遼とは違った恐怖を彼に植え付けたことでしょう。

 

 

一方の政治に関しても、その公正なスタイルは主に下々の兵卒や平民からウケた模様。満寵が揚州の軍事都督として汝南を離れる際にも幼子から老人まで多くの民衆が満寵について行くと言い張って聞かず、それを見ていた監視役が言い出しっぺの中心人物を殺してしまおうかと検討したほどだとか。

 

結局この一件では勅使が出され、特に距離の近かった近親兵千人だけが随行を赦されて決着しましたが……民衆が規則をかなぐり捨てようとするほど、満寵は慕われていたようですね。

 

 

 

また、合わせて9千6百戸とも言われる広大な領地(五大将の一人である張郃も4千6百ほど)を与えられましたが、満寵自身は別段宝や蓄財に興味がなかったために、家には余計な財産は余っていなかったとされています。

 

 

スポンサーリンク

 

 

重箱の隅をつついてみる

 

 

 

さて、そんな欠点らしい欠点のない良将である満寵ですが……「わー完璧すごーい」で終わらせるのも面白くないので、あえて重箱の隅をつついてみましょう。

 

満寵伝を見ると、彼の公平な政治スタンスは非常に素晴らしい、評価されるべきものであることは間違いありません。

 

 

しかし、満寵個人の処世という意味合いでの話になってくると……少々危ないかもと思える部分もあります。

 

それを示す主な要因は、以下の逸話から読み取れます。

 

 

・楊彪への仕打ち

 

・王凌との確執

 

 

 

まず、楊彪への仕打ちから。これは、少なくとも当時の名士層を敵に回す行為か、それに近しいものがあるかもしれません。楊彪はドマイナーな「誰それ?」系の人物ですが、当時は高官を渡り歩いた、まさに名士中の名士。

 

 

裴松之が憤慨した辺りからわかる通り、名士とは例えるなら神様です。人が神様に対し「間違っているから」と罰を与えると、その神を信仰する面々からの非難はほぼ確実。

 

当時の人々……少なくとも裴松之の時代では理不尽に悪く言われる要因の一つとして小さくないと言えるでしょう。

 

 

そして、王凌との確執は、王凌の勝手な行動による無駄な損害、そして逆恨みした王凌派閥による不当な讒言という小さいながらも確かな災いを招いています。

 

無論、王凌側が明らかに悪いのは確かですが……もともとは満寵と王凌の対立が招いたことでもあるのではないでしょうか。

 

 

 

 

とまあ、以上の通り重箱の隅を穴が開くくらいつっつきまわしたところで総評を言うなら……媚びない人物

 

無論、媚びずに正義を貫く姿勢は間違いなく評価されるべき、立派な人格者の資質でしょう。が、実際に立派であるかどうかとその場の人がなす評価も別。

 

 

率直に言ってしまえば、ゴミみたいな超小物から見た清廉潔白なハイパー人格者は、やはり見るべき場所も無いゴミ、と。

 

実際に郡の太守である張苞や曹操軍の重鎮にいる曹洪など人格的にアレな人たちの恨みを買っており、人物的な綺麗さの反面、汚い奴らとあえて仲良くする処世術は持ち合わせていなかった(というか興味なかった?)のではないでしょうか。

 

 

なまじ綺麗で完璧すぎる人物ゆえ、心の穢れきった人物や同じ人格者でも満寵に及ばないというコンプレックスを持った人物により、不必要に敵視される……。これが、満寵のほぼ唯一と言える弱点だったのかもしれませんね。

 

 

『孫資別伝』でもやはり謂れのない讒言を受けたという記述があり、この時には孫資(ソンシ)が褒め称える事でかばってやったとあります。やはり心の腐った奴ほど敵に回しやすいか、満寵……!

 

 

スポンサーリンク

 

 

ウワバミ満寵?

 

 

 

満寵の意外な一面として創作や史書に出るのは、お酒の話。出所は不明ですが……大酒飲みで、しかも酔っぱらわないというハイパー酒豪属性を持ち合わせることもしばしばあります。

 

 

『世語』においては、満寵の大酒飲みという特性を利用して、王凌の一派により讒言が行われた旨の話があります……が、この時も満寵は大量の酒を飲まされたうえで普段と変わらない対応をして、讒言が根も葉もないと断定されています。

 

 

また、三国志演義では悪口を言わせたら天下無双のクソ暴言野郎論客・禰衡(デイコウ)に、こんなことを言われています。

 

「満寵なんて酒粕食わせとけばええんや!!」

 

 

 

……さて、ここまで酒ネタがあるのなら、どこかに元ネタがありそうなものなのでしょうが……残念ながら私は見つけられませんでした。

 

 

 

さて、とりあえずこんな感じで、魏が誇る地味な完璧超人・満寵について書かせていただきました。

 

実は今回、ブログを読んでくださった方のリクエストを受けて満寵伝をこうして書き写しさせていただきましたが……なるほど、この人はすごい。

 

 

地味なのに史書を読んでみたらとんでもない人物だったというのも歴史ではしばしばありますが、満寵はその好例ではないでしょうか。

 

政治〇。戦争〇、人格〇。何をやらせても絵になっちゃうトンデモ超人、満寵。この度無双にも出演しましたし、今後もっと知名度が上がっていく人物なのではないでしょうか?

 

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ページ

【満寵伝1】デカい体の万能選手
文官化と思えば武官にジョブチェンジ。どっちでも功績抜群ってヤバくね?
【満寵伝2】呉軍は絶対追い返す
呉を追い返す。味方が足を引っ張っても追い返す。作戦とか全部見破って追い返す。

ホーム サイトマップ
お問い合わせ