白眉
ひとつの集団や集まりの中で特に群を抜いているものを、「白眉」と呼ぶことがあります。
この言葉、たまーにテレビや本なんかでも使われますよね。どこか知的な表現なのに、普通に我々の生活になじんでいます。
実はこれも、三国志に由来する言葉の一つです。
言葉の意味は?
この言葉の意味合いは、「群を抜いて優れたもの」という物です。
それも、「つまらないものの集まり」ではなく、えりすぐりの集団や集まりの中で、より一層素晴らしい物を指す言葉だとされています。
つまりただのエリートという意味合いではなく、エリートの中でもよりすごい物とか、1流作品が並んでいる中でも明らかにレベルがおかしい域に達しているものとか。そんな感じですね。
エリートの中でもさらに優秀な存在……うらやましい限りです。というか嫉妬心が爆発しそう
気になる出典は?
この故事成語のもとになった人は、三国志をかじっただけの人の中ではちょっとマイナーかもしれませんね……。
出典は「蜀書・馬良伝」。馬良(バリョウ)と呼ばれる人が、まさにこの「白眉」に該当する人物でした。
馬良の兄弟たちは軒並み優秀であることで知られており、「馬家の五常」などと言われ、地元でも有名人でした。
そして、その傑出した5兄弟の中でも、特に馬良は別格として、周囲から特に高い評価を得ていました。
この馬良こそが、白眉という言葉の由来……というか白眉そのものです。
というのも、何でも眉毛が白かったとか何とかで、そのことから地元では「白眉」というあだ名が定着していたのです。
そして、ある人曰く、
「馬家の五常、白眉最も良し」
訳すと、「馬さんところの家の5兄弟の中で、特に白い眉の奴がすごい」と。
このようにほめたたえられたことから、やがて後世にその名前や言葉が広がり、いつしかすごいものを「白眉」と呼ぶようになったといわれています。
ところで、「五常」の「常」って何?
さて、もう通の人たちはわかってるだろうからいいとして……普通の人からすれば、ここはちょっとよくわからないところだと思います。
まず、三国志(というか中国史そのもの)には、字(アザナ)と呼ばれる、言ってしまえば本名とは別の名前がありまして。この馬良たちの兄弟は、それぞれ字のうちの一文字に「常」という文字が入っていたのです。
ちなみにこの馬良、「優れているってことは、きっとよき長男だったんだろうな」と予想される方もいらっしゃるでしょうが、残念ながら、馬良の兄弟に関してはわからないことが多く、何番目かはよくわかっていません。
それどころか、先述した字の法則性から推察して、四男の可能性が高いなんて話も。
「兄より優れた弟は存在しねえ!」などという言葉がどこぞの世紀末アニメで言われていましたが、案外、そうとも言い切れないんですね……
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